01.ハツる

(※当コラムは「絵本とコーヒーのパビリオン」開業までの、2006年3月~2009年10月の3年半に渡ったお店づくりの奮闘記です。外部サイトにて2007年2月~2009年12月まで連載したものを、一部加筆修正のうえ再掲しています。)
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私たちはいま、お店を作っています。
美味しいコーヒーが飲める喫茶店。そして国内外の絵本を紹介するネット古書店パビリオンブックスの実店舗も兼ねた、路地裏の小さなお店です。

で、具体的にいま何をしているのかというと、コンクリートやモルタルの塊を砕いています。
コンクリートを砕いたこと、ありますか? けっこう骨が折れます。ハツリハンマーという、ふつうの金づちよりも重いハンマーでガンガン叩くのですが、最初は本当に骨が折れるかと思うほど、硬くてどうしようもありませんでした。
タガネという鉄の楔を打ち込む方法もあります。ただそれでもなかなか歯が立ちません。ハンマーを何度も打ち下ろしてやっと表面がパラッと欠ける程度か、びくともしないこともしばしばです。

お店づくりといいながら、まず取り掛かったこのハツリ(削り崩す作業)でさっそく文字通り堅牢な壁にぶち当たり、途方に暮れたのを今でもよく憶えています。あのときは本当にゾッとしました。えらいことを始めてしまったと……。
しかしそれも約一年前のこと。
もうすぐ2度目の春を迎える今、ハツリではさほど苦労しなくなりました。以前なら数日は要した作業が、半日くらいで済むこともあります。一年近くもほぼ毎日工事に取り組んでいて肉体が強靭化したこと、試行錯誤しながらコツを覚えたことと、それに段取りが良くなったことなどが理由です。

コツといえば、ある職人さんの話が印象的でした。コンクリートよりも硬い石を砕く場合でも、「石の『目』を見つけるんや。目を狙って打ち込めば一発でパカッと割れる」と。実際そういうコツを掴めば面白いようにバカバカ割れてくれるときもあるのです。
最初の頃は一日ハツリをやると翌日から手首が痛くて、酷いときは一週間も湿布を貼っていました。去年の夏あたりは湿布が欠かせませんでした。
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さて、一年も前から工事を始めてまだハツリ?
確かに。遅い。実は本人もそんなに時間が掛かるとは思っていませんでした。まじめに、昨年の秋にはもうオープンしている予定だったんですから!そんな時間ばかりやたらと掛かっている、怪しくも楽しいお店づくり。その様子をこれから少しずつご紹介させていただければと思います。
(2007年2月)