08.あめあめ、ふれふれ

08_060628-29_PICT0030 (2).jpg

2006年夏。南九州や北陸、長野での記録的な豪雨災害も伝えられました。しかし奈良に関していえば、むしろ例年より雨が少なかったように思います。

夏場はよく人から「工事は暑くてたいへんでしょう」と言われました。でも案外そうでもなかったのです。
まず屋根を葺き直した機会に二層構造に改良しました。つまり間に空隙のある二重の屋根にして、できるだけ屋根の熱を屋内に伝えない工夫です。今回瓦葺きから金属葺きに替えたことで、何らかの遮熱対策が必要だと考えていたとき、昔の土蔵を見てコレだと思いました。効果のほどは厳密には分かりませんが、気休めだとしてもなかなか悪くはなかったと思います。
もっとも壁を抜いたり建具を外したりして、そもそも屋内の風通しがすこぶる良かったことが、暑さを抑えたより大きな要因だったかもしれません。

さらに身体も暑さに慣れました。
毎日水をたぶん2~3リットルは飲んでいたかと思いますが、トイレに行く回数は春先より減っていて、おそらく相当な汗をかいていたのでしょう。 そうそう、この頃はまだ現場にトイレがなかったのです。それでわざわざ公園の公衆トイレまで行っていたので、どうしても水分摂取を控え気味でした。
08_060614_PICT0009.jpg

でも夏場の水分補給は大切です! 体内の水分が不足してくると、血液がドロッと粘ってきます。それが感触で分かるのです。放っておけばもちろん熱中症。しかもその症状は思っている以上に早く進むので、早め早めに水分補給をしなければいけません。
それに酷く暑いときには発汗だけでは体温上昇を抑えるのに間に合いません。そんなときは飲むだけではなく、頭から浴びることも必要です。実際、何度も水をかぶりました。夏の現場は、そういうことを体感として学ぶ機会でもありました。

こう書いてくると、やっぱり過酷な環境じゃないかと思われるかもしれません。しかし同じ夏の日、外に出れば炎天下で作業している職人をたくさん見かけましたからね。自分の現場は屋根があるだけまだ天国だと思いました。本職はやっぱりすごい。心からの敬意を覚えました。

さてしかし、日照り続きには別の理由で困っていました。地面の湿り具合を見たかったからです。 床下の傷みを目の当たりにした以上、新しく作る床には相応の工夫を施すことが不可欠でした。そこでまた人に聞いたり本を調べたりして、何度もプランを練り直した結果、土間床でいく方針に固まりつつありました。床下に空間を設けて換気するのではなく、地面を全面的に防水シートで覆った上、コンクリートなどで固めて湿気を遮断する考え方です。
ただそれが適当かどうか、最終的な判断のために、最も多湿な状態の地面を見て判断したかったのです。

しかし雨はなかなか降ってくれません。その間手をこまねいているわけにもいかず、できるところから作業はどんどん進めていきました。
床下から蒸発する水分の中で、地下水脈によるものはほぼ制御できません。一方敷地内で染み込む水は工夫次第で抑えられます。
実は床や壁の解体を進める過程で、傷みの激しかった北側の側溝に問題があることが分かりました。なんと排水口に泥が詰まり、完全に塞がっていたのです。つまり側溝は雨が降るたびに水が溜まってしまう状態でした。そりゃ柱も腐るわ!
08_060610-11_PICT0020.jpg

そこでまず雨樋をバイパス工事して、北側側溝を雨水が流れないように改造しました。さらに排水口もきれいにして、水が詰まらないように修繕しました。
このころすでに、いわゆるお店づくりと聞いて想像するような内装の工事ではなく、大改修というべき領域に踏み込みつつあることは薄々感じていました。でもまだ、秋にはオープンするんだという意志に変わりはなく、それが可能だと信じていたのです。すべては無知が故に。
(2007年9月)

この記事へのコメント