10.一日一畳!

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初めて打ったコンクリートは、表面が凸凹で我ながら酷い出来映えでした。一体なぜ!?
例によって本やネットで調べ回り、工事現場を見かけてはマジマジと観察し、建築関係の友人知人に電話をしまくり……。
ところが単純そうなことほど意外と解らないもの。そもそも工事現場ではたいていプラントで製造した生コンを使うので、手練りという古典的かつアナログな打ち方を経験しない建築関係者も実は少なくないらしいのです。

プロに訊けばまず「そんなの、生コン買えば! それほど高くないよ」と一笑されます。確かに、生コンは思ったほど高くはありません。ある程度まとまった量を買う必要はあるにせよ、一定量以上だと材料を個別に買うより安いのです。運搬の手間を考えればなおさら。
がしかし、我が現場は路地裏のさらに奥で、ミキサー車を横付けにすることができません。ミキサー車と現場を一輪車で往復運搬する手もなくはないのですが、近隣はトラックをしばらく停めておくのも難しい場所です。よしんば生コンを買えても、まとまった量のコンクリートを一度に使い切る自信がまだありませんでした。
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結局やはり手練りでコツコツやるしかありません。しかし解らないながらも考えつつ回を重ねる毎に、その原因と対策がだんだんと掴めてきました。混ぜ方、水の加減、鏝の使い方、要素は多く一言では説明しにくいのですが、とにかく「適当な感触」というのがあるのです。この感じを言葉で説明するのが如何に難しいかということを、自分である程度体得してみて初めて納得しました。道理で調べても聞き回っても要領を得ないわけです。要は「やってみるしかない」。

さて、そのコンクリ打ちを飛躍的に上達させてくれたのは、厨房等の土間打ちでした。これがどれだけの難関だったかというのを……言葉で説明するのもまた難しいのですが、伝えたいので頑張ってみましょう。

まず打設する量。通常コンクリは容積で表します。生コンを買う場合にも1立米(リューベ:立方メートル)などと伝えます。例えば厚さ60mm(床としての強度を得るための最低限の厚さ)で一畳の広さを打つとすると、1.8×0.9×0.06=0.0972で約0.1立米(100リットル)必要です。(実際には水はけを良くすべく勾配をつけるため60~80mm厚くらいの幅があります。)
コンクリの比重は水の約2.3倍といわれますので、100リットルで約230kg。土間打ちした床は厨房とトイレと玄関、しめて9畳弱ですから、えーっと……およそ2トン超!
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こんなもんだったかどんなもんだったか、正直もうよく分かりません。とにかくそれだけの砂利と砂とセメントを少しずつ買って来ては、台車で何十往復もしたことは確かです。それを鍬で延々と練り上げ、鏝で延々と均したたことも。
体力、時間等の制約で一日せいぜい一畳が上限なので、乾き待ちの日数も含め厨房(約7畳)を打ち終えるのにのべ一か月掛かりました。最初は袋詰めにした砂を持ち上げるだけでも一苦労だったのが、ある日鏡に写った自分の、あまりの筋骨隆々ぶりに思わず声を上げたりもしました。これ誰!? と。
体力増進、気力充実、腕も少しずつ上達して本人はご満悦。でも工期はますます延びてゆく……
(2007年11月)