11.トイレ問題

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みなさん、改めて考えてみたことあります?トイレの場所について。

わが古家の改修は主に床や壁の解体作業から始めたのですが、実はこの段階ではまだ設計というものがありませんでした。どこを何の場所にするかは、しばらくこの家を観察していみないと分からないと考えたからです。
特に自分は建築に関してまったくの素人だし、頭の中だけで行動と機能を結び付けて図面に起こすなど到底無理だと思いました。それよりも実際の現場に立ってみて、動いてみて、お店の様子をイメージしながら歩き回って、それぞれに理想的な配置を発見していく方が、一見遠回りでも実は早道な気がしたのです。
それに元々は残せる部分は残して活かすつもりでした。従って部屋の配置などから店の設計も自ずと制約を受けるはずでした。しかし屋根の葺き替えを機に工事は予期せず全面改築へと大転換してしまったため、配置も白紙状態になったというわけです。

設計する上で最初に決めなければならないもの、それがトイレや厨房といった水回りの位置でした。床を作る前に、地中に上下水道を埋設するためです。
まず間取り図のようなものを作り、思いつく場所にトイレを書き込んでみました。手がかりは日当たり、風通し、厨房や客席との位置関係等々。これはまさにパズルです。
様々なパターンを描きつつ、比較して消去法で煮詰めていきます。徐々に解ってきたのは、規定要因が意外に多いということ。例えば光。最初日当たり良好で明るいトイレは清潔感があって良いと思ったのですが、調べるうちに雑菌の繁殖や臭いを抑えるため昔から便所は北側が常道だと初めて知り驚きました。でも言われてみれば、確かにそうかも。
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またもうひとつ知らなかったことに、水勾配との関係がありました。
ふつう敷地内の排水路はどこか一か所の最終枡と呼ばれる場所に集められ、そこから道路などの地下にある公共下水道に接続されます。下水道は自然の勾配(傾斜)を利用して水を流す仕組みですから、敷地内の排水管はすべて最終枡よりも高い位置になければなりません。しかも管内に残留物を残さないよう、風呂のように排水量の多い設備ほど上流に設けるのが理想的だそうです。

トイレの場合はより下流に設けることが原則で、可能ならばトイレだけ別の配管を通します。これは配管を伝って臭いが上がって来るのを防ぐため。 問題はその土地においてこれらの条件を満たせるかどうかです。通常最終枡は敷地内の最も低い場所に設けられていますが、その高低差が満足に得られない場合、すなわち土地の嵩が十分でない場合は、配管を回せる場所が限られてきます。つまり土地の勾配や広さによっても水回りの配置は決まってくるのです。うーむ、ややこしいけど、なかなか面白い。

さて様々な面から勘案した結果、トイレは元々便所(離れ)があった場所の近くがいいのではという結論に達しつつありました。そこなら最終枡までの距離も近く、厨房からの配管とも別系統にできます。北西角で日当たりもほどほど。隅っこなのであまり目立たなさそうです。そこを起点に客席の配置やカウンターを図面に描き込むと、いよいよ具体的に店内の様子が見えてきてワクワクしました。
ところが! あることをきっかけにトイレ問題は更に二転三転を続けるのです。
(2007年12月)
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