20.ねじねじ切れる

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5年くらい前、数種類のネジを箱買いしたんです。安かったから。
長さによってちがいますが一箱に1000本くらい入っていて、確か300円くらいだったと思います。ちなみにいま同じものが600円近くします! 恐るべし、物価高。

それはともかく、1000本ってけっこうな量ですよ。買って、使い始めてから気が付きましたが、なかなか減りません。当初はちょっとした家具作りに使う程度だったので、例えばテーブル一台ならせいぜい30~40本もあれば十分です。こりゃひょっとすると一生ネジを買い足す必要はないかも、そう思っていました。
ところが最近その箱の底が見えてきたのです。改めて、家作りってすごいなと他人事のように感心しています。
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ところで我が古家の解体時には大量の釘が出ました。今のように電動ドライバーが普及する以前、使われていたのは圧倒的にネジより釘だったんですね。
特に考えもなく抜いた釘を集めていたのですが、途中でバケツがいっぱいになってしまい、やむなくそれからは捨て始めました。でも錆びたり曲がったりした釘は、なんとなく表情があって捨て難くもあります。いっそ金属高騰の折、リサイクルに回せばそれなりに価値があるかも?

そういえば昔大工さんが一握りの釘を口に入れて、それを吐き出しながら目にも止まらぬ連続技で板を打ち付けるのを見たことありませんか? テレビや漫画でなら、という人もいるでしょう。もちろん、真似した人も少なくないはず。あれは仕事の効率を上げる以外にも、舐めたネジが木材の中で錆びて抜けにくくなるからともいいますが、真偽は定かではありません。
こんなふうに釘はネジに比べると、どこか懐かしさと人間味があります。少なくともぼくはそう感じます。便利になって、機能も効率も向上しているんだけど、なんとなくクールな印象があるんですよね、ネジって。とまれ時代の流れには逆らえず。ありがとう、さらば哀愁の釘たち……

ところが! 案外ネジにも温かみがあるんですよ。
箱買いしたネジの中には、けっこう珍しくない割合で不良品が出てきます。溝が切られていないただの棒だったり、クニャッと折れ曲がったのだったり。大量生産の工業製品だからどれも寸分違わないのが当たり前、と思っているからこそ時々変な形をしたのが混じっていると妙に嬉しくなったります。不思議と腹立たしさは皆無で、むしろアイスキャンデーの「当たり」に近い感覚です。
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一方、歓迎されざる不良品もあります。ちぎれてしまうネジです。強力な電動ドライバーで締め過ぎるせいでもありますが、途中でちぎれてしまったネジは抜くのが大変です。材料を傷めてしまう上に時間も大幅にロスするので、あまりに連発するとせっかくの効率化も相殺してしまいます。

たぶん、こういっては何ですが、安い箱入りネジはほとんど中国やアジア諸国で製造されたものです。差はなくなりつつあるものの、やはりまだ品質面では若干難があるようです。でもだからこそ安いわけで、そこは納得しています。むしろそういう不良品、ちょっとあり得ないと思えるような製造機械の「失敗」を垣間見て喜んでしまうのも、なんだか不思議ですね。
(2008年9月)