21.晴耕雨読

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この四字熟語、本来の意味は「官職などを辞めて田舎でのんびり暮らすこと」。気ままで優雅な生活、といったニュアンスでしょうか。

自分では「のんびり」やっているつもりはありません。ないんです、本当に。 実際悪戦苦闘の連続であり、飽くなき挑戦の日々です。……なぜか、いつのまにか、そうなってしまいました。
だからそういう優雅さとはまったくちがうのですが、工事中心の生活はある意味この晴耕雨読だなあと思うのです。

家と現場の往復はいつも自転車。昼食に一旦帰宅するため一日二往復します。これが徒歩だと移動だけで計約二時間。従って雨が降ると難儀します。
さらに雨の日は移動のみならず、工事全般にとっておおむね都合が良くありません。外回りの作業が難しくなるうえ、濡れた靴底でそこらじゅうを汚してしまいます。暗いし。
そこで雨の日は工事を休むことが多いのですが、実際には却って忙しかったりします。材料の買い回りや設計施工の検討など、現場休みの日に備え書き留めておいた用事だけであっという間に一日が終わってしまいます。
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この生活を2年近く……思いもよらず続けてきたわけですが、そうすると身体がすっかりこのペース、すなわち天気に振り回される生活に馴染んでいることに気が付きました。毎日週間予報を見て、「ひとまずは次の雨まで」と思うとモリモリやる気が湧いて、集中力も持続します。完成が延々と見えない中でエンジンを全開にし続けることは難しいのですが、天候の周期に合わせて動いていると自然に良いリズムになるのです。

それにまったく当たり前のようなことを改めて実感するのですが、人間の適応能力はすごいですね。
例えば気温。現場はほとんど外みたいな場所なので、真夏は30度以上、真冬は0度近く、その作業環境には実に30度近い落差があります。でも冬に10度を越える日があると「暖かいなあ」と思うし、逆に夏に20度を下回ると「ずいぶん涼しいなあ」と感じるのです。10度が暖かくて20度が涼しい、それくらい身体は冬と夏とですっかり別物です。でないと屋外の仕事は続けられません。
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実は店内の空調設計について、長らく煩悶してきました。今回の大改修を通じ断熱や通気性能もそれなりに強化するとはいえ、いまや住空間の常識ともいえる「高気密高断熱」は到底得られません。アルミサッシじゃないし、もとより隙間もたくさんあるし。新たに窓もたくさん増やしたうえ、薄い古ガラスを再利用するため熱損失も大きいと思われます。自分としては可能な限り知恵を搾ってきたつもりですが、やはり省エネかつ快適な空間と意匠面での満足を両立するのはそう簡単ではありません。

とはいえそれなりの快適性を確保出来ているとは自負しています。ただ「自然」に馴染みきった今の身体では正常に(?)判断できていない恐れも。元来過度な冷房・暖房は苦手なのですが、そんな我田引水でお客さまを納得させられるかどうか? 不安は尽きません。
まあ工事を終えて再び普通の身体(?)に戻ったとき、真価が問われるのでしょう……
(2008年10月)