22.道具七割?八割?

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黒光りする艶、指先に伝わる感触、重量感、バランス、研ぎ澄まされたフォルム、機能美……。最高。素晴らしすぎる!
それは「玄翁(げんのう)」。両面釘打ち用の金槌で、大好きな道具のひとつです。大好物ですね。

ホームセンターへ行くと、差し当たり必要でなくとも道具売場の前を必ず通ります。見ているだけで高揚して、気付くともう何かを手に取り、つい目的の物とは別にそんな道具たちを買って帰ったりします。作業の必要から道具を求めるだけでなく、道具有りきで作業を求める場合も。
しかしどの道具も無駄なものはありません。ひとつひとつの道具に意味と目的があり、著しく作業効率をアップしてくれます。毎度感心させられますが、最初に考えた人はホントに偉いですね。ベラボーにブラボー。

道具は使用頻度で3種類に分けられると思います。
まず頻繁に使う道具。玄翁、釘抜き、カッター、ペンチ、巻尺、ドライバーなど。どんな施工にも必須なので、腰帯に常備して使います。なおこの腰帯も欠かせない道具のひとつです。
この手の道具はケチって安物を買うとたいてい後悔します。すぐ傷んでしまうだけでなく、道具の善し悪しで作業効率も全然違ってきますから。
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次に限定的な目的に使うもの。例えば墨壷がそうです。主に木材に線を引く道具ですが、さしがね(かねじゃく)では届かない長さに直線を引きたい場合にたいへん便利。というか無くてはならない道具です。とはいえ日曜大工程度なら使ってもせいぜい数回。家作り規模となるとそういう道具類も視野に入って来ますが、買う際には悩みます。今回のためだけに買ってもなあと。でも結果的に後悔したことはありません。その利便性が故に、たとえ一度だけの使用でも十分に元が取れた気がしますから。

ただし裏技もあります。こんなものも!? というマニアックな道具でさえ、100円ショップで見つかることがよくあるんです。これは驚きです。高い正規品を買う前に100均ので試すという手もありますし、中には100均なのに精鋭部隊に昇格した強者もいます。そんなわけでホームセンター同様、100均も常々入念に偵察しております。

そして最後は特定の箇所だけに使う道具。治具(じぐ)という言葉を聞いたことありますか? そもそもは材料を固定して案内する器具を指します。この「材料を固定する」というのがいわばすべての作業の肝でありまして、逆に材料を的確に固定することさえできれば、どんなに難しく複雑な加工も可能だと言っていいでしょう。モノづくりの極意です。

従って本来なら加工の数だけ治具が必要なのですが、大きさも形も様々な治具をそれだけ用意するのは至難です。そこで汎用性の高い治具をフル活用しつつ、どうしても応用できない箇所にはそれ専用に治具を作ったりします。もちろん見栄えを気にする必要はないので簡単にあり合わせの材料で。治具は特定の作業を終えればもう用がないので、大きな材料をまず治具にして、後で造作材として使うこともよくあります。
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「仕事の七、八割は道具。残りが腕」とは大工さん自身の言葉。もちろん腕を磨くに越したことはないけれど、いい道具を使う(または的確に使う)ことも上手への道だと改めて実感します。だから、と自分に言い聞かせては、また新しい道具が手元に増えていきます。
(2008年11月)