29.はじまり、はじまり

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ずいぶんご無沙汰してしまいました。すみません。
そしてなんとその間に「絵本とコーヒーのパビリオン」はついに祝開店と相成りました!
というわけで七転八倒のDIYお店づくりをお伝えしてきたこのコラムも、今回で最終回となります。

振り返ってみれば掲載は3年近くに渡ったんですね。工事自体も3年半に及んだわけですが、まさかそんなことになるとは……。
出会った当初の我が古家は、屋根瓦がずれて下から青空が見える部分もある状態でした。しかしそれさえ修復すれば、あとは壁を塗り直したり掃除をしたりする程度でお店が始められる、という程度の認識だったのです。そんなに簡単ではないにせよそれ以上は想像及ばず、というのが実際だったかもしれません。

でもコラムで掻い摘んできたとおり、古家を再生させるのは本当にたいへんな道のりでした。作業が嫌になることはなかったけれど、「いったいいつ終わるのか…」と呆けたことは何度かありました。プロのように完成までの工程を見渡すことができず常に目の前の仕事だけに集中していて、またあまりに遠い先のことを考えると却って卒倒しそうになるので無理に考えないようにもしていました。先のことを考えるのは大事ですが、そのために意欲を無くしてしまうくらいならむしろ考えない方がいい場合もあります。
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もう9年も前のこと、ふとした思いつきで奈良から東京まで歩いて旅したことがあります。
新幹線ならわずか3時間弱の距離ですが、歩けば(個人差はありますが)3週間もかかります。でも実際に歩いてみると、当然ながら新幹線で行くよりも数十倍多くの物を見て、多くの人と出会い、多くの事を考えます。ある点と点の間にどれだけ膨大な時間と距離が横たわっているか、それを体感した後では、なぜそんなにも急いでその過程をすっ飛ばさなければならないのか、その理由を逆に考えさせられます。
敢えてゆっくり行きたいわけでもなくて、ひとつずつ、一歩ずつ進めようとするとどうしても時間がかかってしまうという……。まあ体質でしょうか。

とはいえ、今回はさすがに時間がかかり過ぎましたが。
最後の一年くらいはほんとに余裕がなくて、コラムの回数も減ってしまいました。そう考えると、最初の方はまだ余裕があったのかな? 当初ものんびりやっていた記憶はないのですが、まだ気楽に構えていたのかもしれません。それもこれもすべて素人の強み、無知が故です。

コラムで書ききれなかったこともたくさんあります。無数の驚きや発見、失敗、それに壁となって立ちはだかった人(部局)への憤懣や絶望など……。そう、世の中オカシナコトがいっぱいあります。何気なく暮らしていると気づかないだけで。家づくりはまさにパンドラの箱です。
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「経験を積んで、やっと要領を得たと思ったらもう作るもの(箇所)がない」とはある先輩のお言葉。確かに! ようやく慣れたところで、家づくりはフィナーレ。残念というか、ちょっと寂しい気がしないわけでもありません。
ただ家づくりを通じて得た知識や経験は、お店を開業してガラリと仕事(?) が変わった今も、不思議に様々な面で役立ち、助けとなってくれています。以前とはちがう見方ができるとか、新しいアイデアを思いつくとか。

それにようやく始められた本業はまだ初歩の初なので、今は工事を懐かしんでいる余裕もないのです。もっか手探りでコーヒー焙煎やメニュー作りに取り組みつつ、引き続き飽くなき煩悶を繰り返す日々であります。
「初心忘るべからず」と言いますから、毎度初心者でいられるというのはある意味幸福なのかもしれませんね。


(コラムを読んでくださった方々、どうもありがとうございました!また機会があればぜひ我が現場、改め「絵本とコーヒーのパビリオン」を見に来てくださいね。)
(2009年11月)

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